計画について 1. 先に先に 

 家を建てようとする決心は相当なものな筈だ。魚を買うようにサンダルで出かけて「その辺のモノをもらおうか」とは行かない。たいていの人が初めての買い物だ。誰もが初心者なので目利きができないんだ。それなのに、サバやアジを買うようには行かない手に汗握る金額だ。手に汗握るどころか金額も度が過ぎてイメージできん。フラット35って延べ何時間の労働の曉か。

 家を建てようとするとき、どんな完成イメージを持つのだろうか。私は暇さえあれば脳内で家を建てる。脳内で働くのは西岡棟梁の率いる宮大工だ。基礎打ちもタイル貼りもアルミの2重サッシも脳内では宮大工が行う。そんな危ない空想は誰でもしているのだろう、と漠然と思っていた。しかしその完成イメージというのはどうやら多くの方(全てじゃないよ)が、実は持っていないということを最近聞いた。

 家のイメージを持っていなかったタイプの人が、庭のイメージだけを持っている事は少ない。奥さんと資料を見たり、買い物途中でよその庭を覗いたりしながら引き渡しが近くなると考え出す。そこから滞りなく外構・お庭も出来上がって行けばいいのだが、小さな後悔がよぎることが偶にある。

 それは大抵「あぁ先に気がつけば良かった」といった類いだ。

計画について

 そのひとつは搬入に関しての問題がある。家を建てる前なら楽に運び込み、施工できたものが、建てた後そうはいかないことも出てくる。通路が狭くなったり、しっかりした段差ができていたり、隣の敷地を使わざるを得ないこともある。住宅をつくるときの担当者は、もし依頼主の希望を知っていたら初めに教えてあげるべきだ。しかし外構やお庭の工事をよそに依頼するとなると案外冷たい。その気配りの無さから、依頼主に余分な費用を使わせてしまうことにもなりかねない。

 例えば、高さが5m、根周りが3m程の大きな株立ちの雑木などは、ユンボが作業可能であったり、ユニックなどで届く範囲であれば、家が建つ前なら簡単に運び込めるので、運植え込み費も安価で済む。(建築の邪魔になるかもしれないが。) 大きな石組みも同じだ。ところが人力でしか運び込めないようなことになっていると、重機を使うより高い出費になることがある。高い費用を払える人はそれでいいが、そうでない対処方法は計画を小さくするしかない。

 もうひとつ、滅多にないことだが住宅の高さと位置に問題がでることがある。これは住宅側の設計時、依頼主とのやりとりに問題がある場合がある。初めて家を建てる人が、間取りや装飾よりも基礎の高さを気にするなんてことはあり得ない。しかしどんな理由でその高さ、位置にするのかは説明すべきだ。「後は外構でどうにでもなりますよ。」なんて言われたら突っ込んで尋ねた方がいい。

 使用する道路と住宅の間には当たり前だが機能がある。車をとめたり、玄関の高さまで苦もなく上がる階段だったり、自転車置場やポストだったりする。

 どういう意図で住宅をその高さと位置にするのか、メリットとデメリットを住宅の設計者は伝えるべきだ。数年前の経験では、車を乗り入れることと、玄関までの高低差を階段で上がりきることで無理が生じた。とにかく勾配が急すぎるのだ。住宅の設計者にどんなつもりだったのか直接聞きたいくらいだった。

 とにかく早めに相談していただければ、調整が可能になることがある。すると余分な出費を減らすことができるかもしれない。

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